第97回 様子見で情報を垂れ流し?2026:02:25:06:58:42

産経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理

高額療養費の自己負担を引き上げをめぐっては、政府と患者会等各団体との話し合いの場がもたれた。しかしその後は、政府が東京のメディアを利用して、国民が知らぬ間に制度設計が決められたかのような情報が「垂れ流されている」といわれても仕方がないような状況が続いている。

つい先日も、2月はじめに某通信社が流した「(自己負担引き上げ後)2年ごとの検証」と、それによる順次引き上げがあたかも既成事実のような報道がなされたものの、担当大臣が会見で否定するというわけのわからない状況に陥っている。
このような状況に、全国保険医団体連合会から25万筆の反対署名が政府に提出されたものの、政府側は、前述のような状況への説明をするわけでもなく、自己負担の引き上げへの理解を求める始末だ。一体どういう神経しているのだろうか。

これでは、まるで、昨年の政府と患者会等団体との話し合いの内容、特に、患者会等が主張しようとしたこと、つまり、がんという病の特性上、高額医療も含め選択肢が広がりつつある標準治療はもとより、副作用への対処、機能回復、栄養管理など、治療内容が多岐にわたり、しかも、長期にわたることなどがあるために、現在でも経済的負担が大きいこと、をどこまで政府が理解しているのか、疑問に思わざるを得ない。もしくは、理解する能力があるのかないのかですら怪しいといってもいいような、対応である。
財務省と官僚に背中をつつかれているだけの担当大臣では、自らの言葉で国民の納得を得るような説明などできようはずもないし、そうした発想もないだろう。

これだけ頻繁に選挙があり、オセロゲームのように、白黒コロコロ変わる当選者を生み出すような選挙制度のままでは、長期にわたり国民の生活の根幹にかかわるような制度設計について国民の十分な納得を得る落ち着いた議論など望むべくもない。患者の生活に直面している地方自治体がもっと、患者を翻弄する政府の対応に怒りをもってアピールすべきだろう。
せっかく、「白紙」という言葉のお好きな首相が生まれたのである。高額療養費制度についても「白紙」に戻して、議論のやり直しを求めたいところである。

<2026/2/25 掲載>