第94回 かゆいところに手をとどけて!2025:11:12:07:03:17

経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理

この一年、60歳を超えて、ポンコツ化が進み、病院通いをしている。
なんとか、仕事は変わらず続けている。こういうところは、病院側も心得ていて、仕事を続ける前提で治療計画をくんでくれる。もちろん、その背景には医療の進展の恩恵がある。ただ、これは、ひごろの取材も交え、某大学病院でナースをしている娘に、自分が今の病院で受けている治療と比較、確認しながら感じていることだが、同じ症状への治療でも、病院間で違いがあることに戸惑いがある。

年なりの乾燥肌と治療の副作用があいまって、はじめはなんでもない湿疹が、娘が「褥瘡やんか、これ」とあきれる事態に。この皮膚疾患で受けていた治療は、消化器内科の主治医のかゆみ止め軟膏の処方のみ。ひどくなって、皮膚科にまわされたのが今年の5月。娘いわく、「うちの病院なら、こんなひどくなる前に治療と並行してケアするけどな」という。
そこで、どんなケアをするのか聞いてみたら、シャワーのみで、水で傷を洗い、赤ちゃん用の泡状の石鹼で軽く洗い流すとか。この夏になって、ようやく皮膚科でヨードの塗り薬が処方されて、娘の言う通りにやってみたら、傷あとは残るものの、褥瘡状態は改善され、治癒にむかっている。

娘に聞いた傷のケアの仕方を皮膚科の医師にきいたら、「風呂に入らず水で洗うのが一番」という。「はよいわんかい!」と心中叫んだのはいうまでもない。

どうも、日ごろ治療を受けている印象でいうと薬頼みのような気がする。ケアの仕方もしっかり伝えてくれないといくら良い薬をだされても効果がない。それをフォローするのがナースの仕事ではないのかと思うが、この1年そうしたケアの助言は聞いたことがない。それがあれば、余計な医療費がかからずにすむのにと思うのだが。

<2025/11/12 掲載>