第72回 患者のためとはいえど...2023:04:03:07:17:42

産経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理

前回、スーパードクターの話を書いた。
一般的に、マスコミで〝スーパードクター〟といえば、その分野(多くは外科)で高度な技術を有している医師のことをいうのだが、自分の専門分野を、ある意味捨て去ることで、スーパードクターといえそうな人物にあった。

優秀な外科医なのに、外科手術を受けなくても薬物療法と放射線治療で、根治が目指せる
技術を確立しようというのだ。

いわく、「本音をいうと、外科医としてはとても不安なんだけれど、だれも手術なんて受けたくないですよね.........」
大阪が中心となって、全国の拠点病院の協力のもと、着々と研究が進められているようだ。
件のドクターは「臨床の現場に入ったころは、手術以外ほぼ治療法がなかった分野なのに、およそ20年で劇的に医療技術が進展し、薬物療法が最も効く分野になって、外科の分野を脅かすようになるなんて、想像もしなかった」。

医師になって30年ぐらいだとお見受けするが、研修医時代以降、先達からよほど良い教育をうけてきたとみえる。おつきあいして5年になるが、毎年、新しい分野に挑戦しようという意気込みを感じてはいた。
検診率が全国ワーストなのに、本音の医療が育つのも、大阪の良さか...。

<2023/4/3 掲載>