第64回 意外と大きい?がん医療の〝地域間格差〟2022:07:08:05:50:11

産経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理

先日、大阪の大腸がんの専門医とよもやま話をしていたとき、「在宅医療の取材をしていると、なぜか、京都と兵庫で大腸がんの末期で緩和ケアを受けているケースが多いのだが...」とといかけてみた。
「その在宅医療の様子との因果関係は別にして、兵庫と京都は大阪と並ぶ有名どころのわりに、がん医療の拠点病院が少ない」という。

確かに、5大がんのがん診療連携(拠点)病院の数を単純比較した比率でいうと、大阪6・3に対し、京都は1・4、兵庫は2・5だ。人口比でいうと、大阪8・8に対し、京都2・6、兵庫5・5だから、あたらずとも遠からずで、ある程度妥当性はあるようにみえる。
兵庫は人口比で見た場合も、がん診療連携(拠点)病院の数は、大阪より少ないが、県土の広さが大阪の4・4倍で、県北と県南の人口格差が非常に大きいという事情があるから、、そもそも比較は難しいといえなくもない。

しかし、神戸市に住んでいる筆者の肌感覚でいうと、神戸市内でがん治療を受けた人からあがる病院の名前はせいぜい2~3病院に偏る。がんセンターはなぜか、明石市にあるから、ここで治療を受けたという人に出会ったことがない。こんな話を前述の医師にしてみると、「確かに、兵庫はそんな印象がなくはない。大阪の充実感に比べれば少なくとも違いは感じる」という。

ただ、がん検診(胃、大腸、肺、乳がん)の受診率をみると、大阪は、三都の中で最低ランク。なぜか、子宮頸がん検診は三都でトップなのは謎なのだが、全国有数のがん医療体制に府民の意識がついて行ってないのは「残念!」としかいいようがない。

<2022/7/8 掲載>